カサンドラサポート カサンドラ症候群の心の回復

今すぐできることは
自分の心を整えること

ASDは生まれ持った脳の特性であり、病気ではないため、現代の医療で治療することはできません。では、ASDの周りの人たちは心の通うことのない日々を一生悶々と悩みながら生きていかなければならないのかというと、そういうわけではありません。
一見目に見えない変化かもしれませんが、楽になる手段として、今この瞬間からできることがあります。それは、心を整えて考え方を変えることです。過去と他人を変えることはできませんが、自分と未来は自分次第で変えられます。
自分自身がいいように変われば、周りの人や環境は今より良い方向に自然と変わっていきます。 カサンドラ症候群の方は、パートナーに対して「絶対こうなってほしい」「こういうふうにならなければだめだ!」と価値観や自分の考えにとらわれて、ASDの相手にばかり目を向けてしまいがちになっていないでしょうか。
一旦自分の力だけでどうにもならないところは置いておいて、まずは、自分の心の持ちように意識をむけてみませんか。相手の発達障害の特性と相手は切り離せません。発達障害を含めてその人なので、まるまる受け入れるしかないのです。 あーだこーだ思い悩んで、言ってもどうしようもないことに意識を向けて苦しみ続けるのは損です。

自分の心の持ち方を意識したカサンドラ症候群の女性

正しい考え方の癖をつける

カサンドラの方達が集う掲示板やブログの体験記などに書かれている多くの文章から滲み出ていたのは、苦しみと悲しみと解決できない現状への嘆き、マイナスの感情です。
現状を今すぐ変えることはできませんが、「もう生きているのが苦しい」「なんで結婚してしまったのだろう」などといったマイナスの感情への対処方法が分かり、手放すことができるようになると、心が軽くなって楽になり、心身の様々な不調症状も改善されていくのを実感できるはずです。
マイナスの感情との向き合い方、どのように考えたら楽になるかわかり、正しい考え方の癖がつくと、心が逞しくなり、それに応じた変化がおこりはじめます。
マイナスの感情には以下のようなものがあります。
• 怒り
• イライラ
• 悲しみ
• 罪
• 恥
• 不安(恐怖)
• 孤独
感情はいい感情と悪い感情に分類することができます。いい感情かよくない感情か判断する基準は、その感情を感じていて心地いいか苦しいかです。いい感情は感じている人も周りも幸せな気持ちを感じることができます。 逆に上記のような感情を感じている時、本人も周りも苦しい気持ちになります。一番苦しいのはマイナスの感情の持ち主本人です。
そしてよくない感情は、血圧をあげたり息が荒くなったり、体に様々な悪影響を及ぼし、行動にも現れ、よくない事象につながっていきます。 よくない感情は体と事象にもよくない影響を与えると言うことです。
カサンドラ症候群は、このマイナスの感情をフルに使いこみ、長年溜め込んで発症しているのではないかと想像されます。
カサンドラ症候群を改善する最初の方法はマイナスの感情をなるべく感じないように、まずはプラスの感情でいる時間を増やすことを意識することです。具体的には、自分を傷つける原因とはなるべく距離をとり、楽しく夢中になれることを見つけて、ほっとする自分だけの時間をとることから始めるといいかもしれません。苦しくて何から手をつけたらいいかわからない時は、癒しの音楽を聴いて、美味しいお茶と甘いもので自分の心と体を労ってあげると次第に問題解決の緒となるアイデアがきっと湧いてきます。

マイナスの感情がもたらす正体に気づいたカサンドラ症候群の女性

出来事と感情を
ノートにまとめる

ノートの左側に起きた事柄を記入して、右にその時感じた感情を書いてまとめてみるのはどうでしょうか。 心が整います。紙に書いて吐き出すと、状況が整理されて、その時感じた感情に真剣に向き合うことができ、過去の自分を冷静に見つめられるようになります。
このノートは誰かに見せる必要はありませんが、カウンセリングや病院で何を話したらいいか頭が真っ白になった時にも役立ちますし、暴力や暴言などがあったときは証拠にもなり、いざという時のお守りにもなります。 自分のマイナスの感情を誰かに聞いてもらうのは、カウンセリングは高額で回数や日時に制限がありますし、親しい人にもいつも愚痴をこぼしていると聞いている相手も疲れてしまい、マイナスの感情が伝染してしまいます。
しかし、この方法であれば、ノートに書くだけなのでいつでも行うことができますし、自分の感情に嘘をつく必要はなく、誰に気を使う必要もなく、何を書いても大丈夫です。
SNSに掲載するわけではないので、人の目を気にして取り繕う必要はありませんし、自分の素直な気持ちを書き殴って吐き出して大丈夫です。あとで冷静になって読み返すと、「解決策は沢山あるのに、どうしてこんなに深く思い悩んでいたんだろう」と感じるかもしれません。心の状態が極限まで追い詰められ一人ではどうしようもないときも、紙に書くだけで、心を落ち着かせて感情をコントロールできるようになります。感情を除いて過去の出来事を俯瞰して、冷静に分析し解決策を探ることできるようになることを目的としています。

左に出来事、右に感情を書いたノート
ノートに書いて感情を冷静に外から見ているカサンドラ症候群の女性

発展型として、ノートを見返して過去の自分の感情に今の自分からプラスのコメントを書くのもおすすめです。
例えば、どん底の感情の時に「もう生きていても良いことはない。残りの人生は消化試合。絶望しかない。自然と涙が溢れて止まらない。」と書いていたとします。時間が経ってプラスの感情でいる時に「あれから、こんな良いこともあったしなんとかなっている。笑うこともあった。どん底まで落ちたらあとは上がるしかないから大丈夫。」と過去の自分に返信をすると、目に見えて心が一歩成長したことが実感できます。
ポイントは、未来の自分からの返信は、プラスの感情でいるときに行うことです。他の誰から言われることより自分自身の言葉には説得力があります。また、他人と比較せず、過去の自分と今の自分を比較することで成長を実感することができます。マイナスの感情でいるときに返信すると、マイナスの感情が増幅して悪化する恐れがあるので、注意が必要です。
過去の苦しかった出来事は、紙に詳細に事柄を記載することで、そのノートが覚えていてくれるので、自分の頭の中で何度も思い出して一番苦しかったときの感情に浸る必要がなくなります。 過去は変えらませんが、過去の苦しかった出来事に折り合いをつけて、自分なりに納得し、過去の感情を引きづらないように工夫して前向きに今を生きていけるかどうかは自分次第です。

左に出来事、右に感情を書いたノート
過去の感情と現在の感情を比較して成長を実感するカサンドラ症候群の女性

マイナスの感情は
思うだけ損だと知る

例えば、夫からDVを受け続け、独身時代に貯金していたお金も全て取られたとします。 相手に明らかに非があって自分が被害者である場合、恨みや怒りや悲しみなどマイナスな感情は持って当然です。人間には感情があります。
しかし、いつまでもマイナスの感情を抱き続けるのは損です。恨み、憎しみ、怒り、嫉妬、悲しみなどマイナスな感情を抱けば抱くほど、自分に返ってきて苦しむ原因になってしまいます。
「許さない!なんて酷いやつだ!よくあんなことができたものだ!」と思い続けていると、とんでもない人を選んで結婚した過去の自分も責めてしまうことになり、自分がキツくなります。そのうち日常生活を送るのが困難になってしまいます。
気がそぞろになって運転中に事故を犯したり、仕事中に想定外のミスを犯したりするかもしれません。自分がマイナスの循環に陥って苦しんでいる時、相手は奪ったお金で贅沢して美味しいものを食べて楽しく暮らしているかもしれません。それこそ一番悔しいですよね。
自分自身が幸せになるために、他人を責めるのも、自分を責めるのも今日でやめましょう。
また、怒ると眉間に皺がよって目が吊り上がって口元は歪み怖い顔になります。心は顔に滲み出ます。そのような人と一緒にいると怖いので、人は離れていきます。例え、どんなに美人な人でもマイナスな感情を抱き続けていると人相は変わり果ててしまいますし、どんな高価な衣装を着てもメイクをしても誤魔化すことはできません。
さらに、マイナスな感情は体にも異常をもたらします。怒ると顔が赤くなって血圧が上がって息が荒くなるように、他の全ての感情も体に出ます。体調が悪くなると病院代もかかり予定外の出費になりますし、さらに悲観的に考えがちになり、心も弱って悪循環に陥ります。 まずは、マイナスな感情は抱くだけ自分が損をすることを知り、マイナスの感情を抱いたときは「あ、ダメダメ」と意識することから始めると良いかもしれません。おすすめの方法は、マイナスの感情の時にはドブにお金を捨てているのをイメージすることです。損でしかないので、すぐに辞められます。

マイナスの感情を手放そうとするカサンドラ症候群の女性

当たり前に感謝して
今この瞬間に集中

まずは今自分が抱いている感情がプラスなのかマイナスなのか客観的にジャッジできるようになるのが第一歩です。ただ心がモヤモヤ、イライラしている状態では感情の原因も全貌もハッキリせず対処法も見えてきません。紙に書いたり、夢中になれることを見つけたり、感情をマイナスに動かす原因から距離を取ったりして、自分なりに工夫して自分を外から見つめられるようになり、平常心で感情をコントロールできるようになると心が一つ成長です。そのためには自分が感じている感情がいいものなのかよくないものなのか、まずは冷静に認識できるようになるといいでしょう。

プラスな感情:嬉しい、楽しい、感謝、思いやり、真心、人を助けたい、人を幸せにしたい、他人の幸せへの喜び
マイナスな感情:怒り、悲しみ、嫉妬、孤独、欲、妬み、憎しみ、恨み、驕り、焦り、緊張、動揺など

マイナスな感情を抱いている時、自分が一番きついです。マイナスな感情を手放すためには、プラスの感情でいることです。感謝とマイナスな感情は共存できません。
ただ、本当に生きているのも苦しいくらいの苦労している状況の中、嬉しい、楽しい気持ちでいることはなかなか難しいので、まずは小さなことから「感謝」を始めるのはどうでしょうか。 小さなことに感謝して何事もプラスに考えていると次第に、マイナスな感情が流れていきます。 当たり前のことはひとつもなく、全てありがたいものだと感謝できると、その瞬間はマイナスの感情を感じることがありません。
それから、今この瞬間に集中することです。今この瞬間に意識を集中しているときが、人間は一番幸福を感じるのだそうです。そういえば、音楽を聞いたり、芸術を鑑賞したり、スポーツをしたり、映画を見たり、何か楽しい体験をしているときは、その瞬間にだけ意識を向けて生きています。過去や未来の概念がない、ピダハン族はうつ病にはならないそうです。つまり、過去に想いを馳せて後悔したり、未来に不安を感じたりせず、今この瞬間に集中して生きることが心の健康状態の向上になります。
まずは、今日コーヒーを一杯飲む時は、次の仕事を考えながら何気なく飲むのではなく、一杯のコーヒーに意識を集中させて、コーヒー豆を栽培してくださった人、焙煎してくださった人、物流、豆を引く道具の設計者や製造した職人、湯を沸かしたガスや水道のライフライン、マグカップひとつまでとことん感謝して集中して味わいつくすなんでいうのはどうでしょうか。コーヒーを飲むという今この瞬間に最大限集中して幸せを実感できます。

マイナスの感情を手放そうとするカサンドラ症候群の女性

感謝とプラスの考え方の
癖をつける

感謝は簡単です。ただ「ありがたいなあ」と心から思うだけでいいです。たったそれだけのことですが、本当に自分のためになります。
感謝すると、心が健康になって物事のいい循環も回り始めます。 不思議と、苦しい時は楽しむことはできなくても、感謝することはできるものです。マイナスの事象に対して感謝できるようになるには、プラスの側面を見ることです。
例えば、雨の日に洗濯物が乾かないし、服は濡れるし、とイライラ憂鬱にするのではなく、かわいい傘やレインブーツを身につけられて幸せ!と思ってプラスの面を喜ぶことです。
もっと明らかにマイナスの事象ではどうでしょうか。誰かに財布を取られたとします。だれでも落ち込む事象です。しかし、その返ってこないお金についてあーだこーだ悲観して盗んだ人に恨みを心の中で言い続けてもお金は戻ってきませんし、嘆き続けている時間も損です。
その時は、「お金の大切さを教えてくれてありがとう。財布に入っていた現金は少なかったし、携帯は盗まれなかったから、カードの使用ができないようにすぐに連絡できたし、それ以上の損害が増えなくてよかった。財布を入れる場所がポケットだと危ないことも教えていただいたから、今度から斜めがけのバッグに入れておこう。」と失った部分ではなく、ある部分に感謝して、失敗を未来に生かす考え方に変換できると楽になります
「自分の周りの人が財布を無くした時にもどんな対処をしたらいいか冷静にアドバイスできるし、成長させてくれた盗んだ方にも感謝しかないな」と、自分の失敗を他人が繰り返さないように、人のために自分が今できることは何か考え、何事もプラスに達観した考え方ができるようになると心の次元が上がります。
財布を盗んだ人は、不幸が重なって食べるものがなくて仕方なく盗んだのかも知れません。もしかすると飢えた幼い子供がいたのかも知れません。そのお金で美味しいご飯が食べれた喜んでいる子供を想像すると、架空の世界の話ではありますが、少し心が優しくなれます。失ったお金は困った人に寄付したことにして徳を積ませていただいてラッキーと思うのはどうでしょうか。
このように何事にも感謝する癖とプラスの考え方の癖をつけるといいです。何事もプラスに考えていたらもしかしたら、その後財布が見つかって、財布を拾ってくれた人がものすごくいい人で運命の出会いになってしまうかもしれません。 心の持ちよう次第でマイナスがプラスに変わることもあるので、まずは小さなことに感謝です。

雨の日でもプラス思考の女性

相手のいい面を探して
心から認める

とんでもない人を恨み続けるということは、いつまでも相手に意識を向けて同じ土俵に立ち続けいていることになります。相手と同じ土俵に立ち続けている限り、相手は離れていきません。どんな相手にもいいところは必ずあるはずです。その人と何かしらの関係があったということは、何か人間として惹かれる部分があったからではないでしょうか。もしくは相手のとんでもない要素は少し自分にもある要素なのかも知れません。
相手を知れば知るほど悪い部分ばかりが目に行くようになってしまったかも知れませんが、相手の良いところを探して素直に認めてみると相手を上回ることができます。相手を上回ると、腹も立たず、かわいそうと思えます。すると自然に離れていくようです。
とんでもないところを分かりやすく反面教師として見せていただいたことにも感謝して、成長させていただく経験をいただいたことにも心からありがたいと思えた時、心の次元が変わって、現状にも何か変化が訪れるはずです。
夫婦間だけでなく、職場や親戚や友人など人間関係全てに共通して言えることなので、とんでもない人を恨むより、いいところ探しを是非してみてください。相手を心で上回ると腹も立たず、可哀想な人だと思えます。
他人に期待したり何かを望んだりしなければ、腹も立たず、裏切られたと感じることもないはずです。パートナーに「こうなってほしい」「こういう言葉をかけてほしい」「こういう気持ちを持ってほしい」と望むのは、そうならなかった時に恨む原因になります。 パートナーであろうと、子供であろうと、親であろうと、他人に何かを求める姿勢をやめ、欠けている部分でなく長けている部分を見つけて全てを受け入れる姿勢でいると、楽に生きられます

とんでもない上司のいい面を認めて上回る女性
とんでもない人と自然と離れられた女性

感情を使いたくなる
原因は作らない

人間には相性があって、気が合う合わないは必ずあります。日本の教育上、友達は多い方が良くて、誰とでも仲良く合わせられるのがいいと思いがちですが、自分が苦しくなってしまうくらいなら、友人はいなくても問題ありませんし、誰かとべったりする必要はありません。親子であろうが夫婦であろうが、お互いに歪みあって敵対心を感じてしまうくらいなら、距離を取って、感情を使いたくなる原因はなるべく作らないほうがいいです。たくさん話せば話すほど、心が通い合わないことを実感し、傷つき、喧嘩になり、マイナスに心が大きく振れてしまうくらいなら、なるべく話さない方がいいです。感情を使う原因を作らないように工夫すれば、よくない結果を生み出すことを避けることができて平和に生きられます。
「いやだ」と思うことを世間体や他人からどう思われるかなどのしがらみを優先させて無理に行う必要はありません。 仕事の場合は割り切らなければならないこともありますが、私生活で避けられる原因はなるべく避けるように工夫するのはどうでしょうか。
カサンドラ症候群はASDが原因なのですから、その原因から離れれば全て解決します。
しかし、離れずにできることなら一緒に人生を幸せに歩んでいきたいと思うからこそ一筋縄ではいかない難しいところです。 離婚するにしても、子供がいるか、収入のあてはあるか、家のローンの事情など、環境によって今すぐにできるものではないですし、子供がASDで社会に出ていない未成年の場合、全くかかわらずに生活するのは不可能です。 可能な限り最大限の距離をとって自分ひとりの時間を意識的に取るようにし、自分の心を守って整えることから始めましょう。

感情を動かされる原因から離れて一人の時間をもつ女性

人間はした分だけ
返ってくる

他人を喜ばせたら、その人本人からではなくとも回り回って他から幸せが自分にやってきます。逆に、他人を苦しめたら、回り回ってその分も返ってきます。だから、苦しめられたから恨んでやり返そうとしなくても、放っておけば大丈夫です。自分のことを傷つけた人に意識を向けず、自分がこれから幸せになる方に意識を向けるほうがずっといいです。
「あれもこれもしてやったのに!」と思うと腹が立ってしまいますが、「施させていただいて、徳を積ませていただいてありがとう」と思うと幸せな気持ちになれます。
現状に満足せずに、「くれくれ」の姿勢でいると貧しい気持ちになってしまうので、今手の中にあるものに感謝して、今この瞬間の幸せを探してみるのはどうでしょうか。幸せはいつかなるものではなくて、今感じるものであり、幸せかどうか決めるのは他人や世間ではなく、自分自身です。

お花をもらって喜ぶ女性

焦らなくていい
頑張らなくていい

すぐに現状を変えよう、心を元気にしようと思っても難しいです。 焦ってもいいことはありません。焦りもマイナスの感情です。 焦ると歯車が噛み合わず、良くない方向に行くこともあるので、まずは、焦らず怒らず平常心でいることです。
そして無理してがむしゃらに頑張ると疲れてしまうので、気負わずに、今この瞬間を大切にして楽しむように工夫してみてください。どんなこともプラスの側面を見られるようになると、楽しめます。 きっと今まで、現状を変えようとずっと焦って頑張ってきたのではないでしょうか。これからは焦らなくていいし、頑張らなくていいです。気負わずのんびりゆっくり楽しみながら一歩ずつ階段を確実に登っていくようにしましょう。 苦しみながらの努力より、楽しみながらの継続と工夫で人生がいい方向に変わっていくように思います。

深呼吸して焦らず怒らず平常心を努める女性

ゴールの心の持ちよう
ASDとカサンドラに感謝

苦しんでいる渦中ではなかなかこのゴールの気持ちには辿り着けませんが、最終的には、「ASDとカサンドラ症候群に感謝」できるようになれるといいですね。 その感情になったとき、この課題は解決してもう悩むことも無くなっているのではないでしょうか。
まずは、パートナーがASDで良かったこと、自分がカサンドラ症候群になってよかったことを真剣にさがしてみるのはどうでしょうか。 絶対ないと思われるかもしれませんが、探せば何か見つかるはずです。「苦しい経験だったから、小さなことに幸せを感じられるようになった」とか、「傷ついた分、人の苦しみに寄り添えるようになって優しくなれた」とか、「元気で心が健康なことが当たり前でなくどれだけ素晴らしいことか気づけた」とか。
パートナーの過去の言動に対する恨みつらみや、結婚を決めた過去の自分への叱責や後悔ではなく、心の成長という変えがたいものを頂いたことに目を向けると、少しずつ感謝の比率が上がってきます。

ASDの夫と結婚してカサンドラになってよかったことは何か考える女性

心的外傷後の成長

PTG(Posttraumatic Growth)という言葉をきいたことはありますか?「ポストトラウマティックグロース」つまり心的外傷後成長です。非常につらく苦しい出来事(自分が心の底から信頼していた人に裏切られること、資格試験や不合格通知を受け取ること、秘密が暴露されること、家族が障がいをもつこと、などを含む)を体験した人間が心を成長させたことを指します(Tedeschi & Calhoun, 1996)。
具体的な成長としては次のようなものです。

・人間関係における成長(他人の苦しみが分かったり思いやりが持てたり同じように苦しんでいる誰かを助けたいと思う)
・新たな可能性(その苦難なしではあり得なかった活動を始める)
・人間としての強さの自覚(苦境にたってどん底を味わってこんな強い面が自分にあったのかと発見する)
・感謝の気持ち(今まで当たり前に思っていたささやかな日常や命に心から感謝できるようになる)
・目に見えない力への敬意(深い生死感を持ったり、運命や生きる意味について本気で考えるようになる)

絶望的な出来事を体験し、深く傷ついたその後、長い長い時間の果てに、深い深い悲しみの向こう側に、苦しかった経験も私の人生にとって意味のある出来事だったと思える日がきます。 ASDのパートナーと結婚したことも、カサンドラ症候群になって苦しんだことも、そしてこのサイトにたどり着いて今この文章をも読んでいることも、何か必ず意味のある必要なことだったと思えるということです。
苦労して大きな壁を乗り越えると、心が逞しくなり、その先には今よりもっと大きな幸せが待っています。だから今苦しくて今日を生きるのに精一杯な心の状況でも大丈夫です。

成長した女性