カサンドラサポート ASDへの向き合い方とこれから進む道

解決までの段階

まずは、パートナーに発達障害の特性があることと、自分がカサンドラになっているかもしれないこと、そのことでとても苦しんでいる事実を認めて受け入れることです。
普通の人になって欲しいとか、相手に求めることは辞めて、ありのままの相手を受け入れること、そして自分がありのままのパートナーの近くに居続けるのが限界であるとカサンドラ症候群の症状が教えてくれているということに気づくことです。
見て見ぬふり、気づかないふりをしていると楽ですが、それでは、大人の発達障害に気づきながら放置し続けてきたパートナーが今まで出会って関わってきた周りの人と同じです。
パートナーの発達障害の特性を受け入れると、新たな悩みが出てきます。子供がいる場合は、遺伝して同じような特性が発現して人生に苦労するのではないかという不安が生まれるかもしれませんし、結婚前に、せめて妊娠前に発達障害に気づけなかったのかと自分を恨み後悔するような気持ちも生まれるかもしれません。
結婚した過去は変えられませんし、パートナーを別人のような中身に変えることも不可能ですし、過去の自分の選択で自分を恨んでも前には進めないのでその考えは少しずつ手放していきましょう。血が繋がっていても、パートナーと子供は別の人間です。小さい頃に周りの大人に特性を見過ごされて適切な療育も何も受けられなかった人と、小さなうちから周りが特性に気付いて療育を受けつつ長所を伸ばし短所を補う教育を受けてきた人では、全く違います。子供に特性が遺伝しているかいないか、将来苦労するのではないかという不安も一旦考えるのを辞めて、今この瞬間自分が何ができるかに集中しませんか。今できることは、「自分の正しい心の持ち方とASDとの向き合い方を身につける」ことではないでしょうか。

次に、カサンドラ症候群で心が弱り果てているのなら、まずはその回復からです。心が弱って不安定の時に、大きな決断や行動はおすすめできません。 変化させるのは多くのエネルギーが必要ですし、マイナスの感情で勢いで動いてしまうと、よくない結果を招きかねないからです。
心が回復してきて、安定して自分の心を適切にコントロールできるようになったとき、パートナーのASDと向き合ってみるのが良いかもしれません。

相手を感情を挟まず冷静に見られるようになると、一緒にこれからも歩んでいくのか、別居なり離婚なり別々の道を歩んでいくのか、自分が進むべき道が次第に見えてくるはずです。
パートナーが発達障害の特性があることを受け入れて、本気で変わりたいと思い、意識して生きていくようになれば、きっと一緒に生きて幸せを感じることができます。
しかし、パートナーが発達障害の特性があることを受け入れない場合、むしろ侮辱やいじめと捉えて怒ったり、発達障害を免罪符にして、発達障害があるから仕方ない、何をしても許される!というような態度で変わろうという気持ちが皆無な場合は、一緒に生きても、幸せを感じることはおそらくできないでしょう。

ASDの特性を受け入れて変わりたいと思う男性
ASDを指摘されたことに腹を立て、ASDを免罪符にして変わろうとしない男性

本当の幸せとは何か

幸せの定義は人それぞれですが、「健康」「愛情」「お金」の3要素で判断すると見えてくるものがあります。
このサイトを訪れている方は、カサンドラ症候群で心身の健康に異常をきたし、ASDのパートナーとの間に愛情を感じられず、パートナーが財布の主導権を握ってお金も自由に使えない状況で、もしかすると、3要素全てにおいて満足できない状況かもしれません。その状態では幸せはなかなか感じられないはずです。
逆に、カサンドラ症候群を克服し、今日1日を健やかに過ごせる体があって、パートナーでなくとも子供や親や兄弟など誰かに愛し愛され、2週間先まで食べるものに困らず、自由に使えるお金がいくらかあるならばそれだけで幸せと言っても過言ではないと思います。

まずは心の「健康」を取り戻すことから取り組みませんか。心が整えば連動して体の調子も整います。
健康が満たされれば、誰かに愛情を注ぐ余裕も生まれますし、自分で働いて自由に使うだけのお金を稼ぐことができます。そうすれば、気づけばいつのまにか幸せの3本柱全てが満たされているはずです。

幸せの三本柱は健康と愛情とお金

ASDの人とうまく
付き合っていく方法

ASDの脳の特性のある人は、絶対的な強固な世界観をもっているため、それに反することを言ったり、意見をするのは衝突の元になります。
とにかく、話を聞く方に徹して、あーしてこーしてと指示ははあまり言わない方がいいです。時間をかけて少しずつ根気づよく、今持っている世界観は絶対ではないと伝えていくしかありません。その途中に心が折れないように、他に夢中になれるもの(趣味・習い事・家事・運動など)を見つけた方がいいかもしれません。 そして察して欲しいという気持ちは捨てて、はっきりと文字通りに自分の気持ちを伝えるように意識するといいと思います。
つまり、ASDの人との正しい付き合い方は、自分の心が守れるだけの距離を保ちながら、話を聞くのに徹し、指示はせず、相手に求めないことです。
この付き合い方を継続し続け、怒らずに健やかな心を保ち続けるためには、自分の心の鍛錬が必要不可欠です。ではASDと向き合い続けていくためだけの強い心を手に入れるためには、具体的にどうすればいいのでしょうか。

ASDと向き合うための
心の鍛錬・成長段階

美しくて強くてやさしい、大人な心の持ち主になれたら素晴らしいですよね。高い次元の心って具体的に何か考えたことはありますか。
肉体が1日で美しく引き締まった理想のボディにならないように、心にも成長段階があります。心のレベルは目に見えませんが、上下して外見にも現れ、それに応じて関わる人も変わってくるので、「1日でどれだけ心の成長ができるか」に日々意識を向けて生活するのがいいかもしれません。
心が強くなれば、鬱やカサンドラ症候群の苦しみから開放されますし、パートナーがASDで何をしようが言おうが気にならなくなります。
ただ1日をなんとか乗り切るために時間を使うより、心がどうなりたいか目標を具体的に立てて意識してプラス思考と感謝で時間を過ごせば、問題解決までの時間も短くなるはずです。
がむしゃらに頑張るのではなく、明確な心の目標があるだけで、1日の過ごし方も変わってきますし、心の使い方も変化を実感できるようになります。

愚かな心の次元

不満、怒り、イライラなどマイナスの感情を抱え続けて、他人の噂話や悪口ばかりして、他人と自分を比較して幸せを測定する心の状態です。自分が上に行くより他人の邪魔をすることに意識が行きがちで満たされません。愚痴や噂話をするのが楽しいと思っている節もあり「他人の不幸は蜜の味」です。

不安定で無理している心の次元

自分の未来に不安を抱き、過去を後悔し、最悪の事態を想像して苦しんでいる心の状況です。死にたいとか、自分には生きている価値がないとか、とにかく自分をせめて絶望している心の状態です。これも幸せを感じられません。他人に目を向ける余裕はなく、困っている自分で今日を生きるだけで精一杯です。

こういう心の使い方はいいとは言えませんし、幸せになりづらく、心身によくない症状が現れやすい心の持ちようです。負の感情のスパイラルに入って抜け出せなくなる前に気付いて、心の持ち方を変えようと思えるかどうかは自分にかかっています。 では高い心の持ちようはどんなものかというと、イエスキリストやお釈迦様のような達観した無の境地の方々を想像するとわかりやすいかと思います。

他人に何も求めず満たされた心の次元

他人に何も求めず、なにも欲しいと思わず、今この状態に満たされている状態です。常に幸せを感じています。常に心に一本芯が通っています。

人を幸せにしたい心の次元

他人を幸せにして、助けたいと思っている心の状態です。自分だけでなく、どうすればみんなで幸せになれるかに意識を向けています。 欲や嫉妬や動揺などマイナスな感情は限りなく0に近いです。

人を幸せな気持ちにできる心の次元

実際に、心を救うことができる次元です。この人と一緒にいるだけで元気になれる、と言われるような。 なかなかいません。自分のことも外から俯瞰して客観的に見ることができて心が動きません。

目標とする心の次元に向かって一歩ずつ成長する女性

ASDの人の考え方の
特性を理解する

ASDの人は、他人という概念が薄いと言われています。つまり、自分の気持ちが傷ついたり喜んだりするのと同じように、他人の気持ちもあるということに意識が行きづらいということです。そのため、他人の気持ちを想像しづらく、不用意に悪意ない言葉で他人を傷つけたり、他人を思いやったりする行動より自分勝手な行動をとったりすることに結びついてしまいます。

感情のコントロールが苦手で、勢いで感情に任せてとんでもない行動ををとってしまうこともあります。決して怒鳴ってはならない会社の取引先の人にキレてしまったり、カッとなって子供や妻など自分より弱い人に手を出してしまったり。

DVモラハラ男なのかASDなのかの見分けは、ハネムーン期があるかどうかだと言われています。相手の気持ちに寄り添って「大丈夫?君が大切だから手を出してしまったんだよ。ごめんね。」というような、優しい時期があるようなら、それはASDではないかもしれません。相手の気持ちに寄り添って相手の喜ぶ機嫌を取るような言動はASDの人には難しいからです。

記憶力がよく、過去の印象的出来事をずっと覚えていることも特徴のひとつにあります。記憶力の良さは必ずしも良いように作用するわけではなく、過去のよくない思い出のことも何度もリアルに思い出し、体験し直し、何度も苦しい気持ちに浸ってしまいます。

このように、考え方の特徴が分かってくると、相手のことがよくわからない宇宙人のような人という印象は持たなくなってきます。

他人にも感情があることに意識が行きづらいので相手の感情を想像して行動を決めるのが難しいASD男性

パートナーは唯一自分で選べる家族

カサンドラ症候群になって、絶望的な気持ちになっているかもしれませんが、解決策は必ずあるので大丈夫です。 「パートナーは唯一自分の意思で選べる家族」である、このことだけは忘れないでください。親も兄弟も子供も自分で誰にするか、どんな性格でどんな容姿でどんな価値観の人かを選ぶことはできませんが、パートナーだけは選べます。 さらにはっきりいうと、何度選び直しても大丈夫です。
決して離婚を勧めているわけではありませんが、全く変わろうとしない相手、一緒にいればいるほど深く傷つく相手のそばにずっとい続ける必要はありません。
あなたを幸せにするのは、あなたです。パートナーではありません。 相手を変えることはできません。自分の思い通りに相手の意思に関係なく相手を変えたら、それは洗脳です。
一緒にいるだけが幸せではないし、離婚や別居は不幸の入り口でもありません。 幸せは世間や他人がジャッジするものではなく、あなたが決めることです。

これから進む道を決める

カサンドラ症候群は相手のASDありきの症状ですから、本当は離れてしまえば万事解決です。しかし、そんなに簡単に離れる決断を下すことは、学生時代の恋愛ではないのですから、不可能ですよね。共有の財産や子供もありますし、これから住む場所、収入源、引っ越し費用など、考えることは沢山あります。
今、カサンドラ症候群になって苦しんでいようとも、パートナーの理解しがたい言動に日々悩み続けていようとも、一緒にいる選択を日々し続けているということは、そうするだけのメリットが何かあると自分の心が判断しているということでしょう。何がそうさせるメリットなのかノートに書き出してみたらどうでしょうか。
一緒に歩み続けていくか、距離をとるか、関係を切るか、今日その行動を取るわけではないのなら、あーだこーだ悩まない方が本当はいいのですが、どうしてもそこに意識がいってしまう場合は、それぞれの道を選んだときのメリットとデメリットを紙に書き出すと状況が整理されていいです。明らかにメリットが少ない道にも関わらず、そちらを選んでしまっている場合は、感情で間違った道を選んでしまっているかもしれません。
※下には、メリットとデメリットどちらかに偏らないように、同じ数だけ例を挙げています。

一緒に歩んでいく場合
家族三人

メリット
・両親がそろった環境で子供を育てられる
・収入の心配がない
・仕事をしなくても夫の稼ぎで生活できる
・金銭面の心配がない

デメリット
・険悪な雰囲気になったり衝突することがある
・子供が大人の喧嘩を見て萎縮してしまう
・義理の親族との面倒な付き合いがある
・夫の言動に傷つき、カサンドラ症候群から抜け出せない

別居する場合
別居している家族

メリット
・心の健康を保つ適切な距離がとれる
・離婚手続きの面倒がない
・夫の言動に傷つくことが少なくなる
・時間をかけて関係修復できる

デメリット
・家賃が二倍かかる
・引っ越し費用や家具家電が必要
・いつかは離婚か同居か決断しなければならない
・国からひとり親の補助が受けられない

離婚する場合
シングルマザー

メリット
・カサンドラ症候群を抜け出せる
・夫の言動に二度と傷つくことも振り回されることもない
・面倒な義理の親族とも絶縁できる
・新しい出会いのチャンスがある
・国からひとり親の補助が受けられる

デメリット
・離婚手続きは精神的にも肉体的にも大きな負担
・毎月養育費がもらえるか不安がつきまとう
(※公正証書や調停調書で給料差し押さえ可能)
・片親の環境で子供に寂しい思いをさせる可能性がある
・生活費が減る
・働く必要がある

不安の種を知り
最悪の事態に備える

別居や離婚などを決意し、大きな変化を伴う選択をした場合、不安はつきものですが、最悪の事態を想定して備えておけば、必要以上に不安を感じず、落ち着いて日々を送ることができます。
まず、金銭的不安や金銭的DVがある場合は、月々に使えるお金について、家計簿をつけて記録しておきましょう。金銭的DVがあったと認められる証拠になります。 また、専業主婦の場合は仕事を探したり、専門職の免許を取得したりし、生きていく術を身につけておきましょう。
暴力や暴言がある場合は、いつどんなことをされたか、できるだけ詳細にノートに記録しておきましょう。可能なら録音もしておくことをお勧めします。録音機器を買わなくても、スマホにも録音機能が付いています。
もし、外傷をおった場合は、写真を撮影し、病院で診断書を発行してもらっておきましょう。一度警察に相談しておくと、何かあった時にすぐに駆けつけてくれますし、給付金の振込先も変更できます。
裁判になってその証拠を使うことは実際に可能性は低いですが、証拠があると、離婚の条件が有利になったり、相手に明らかに非があり慰謝料を請求できる可能性が高まります。
養育費や婚姻費用は、支払いがない場合は遡って請求できます。調停で調停調書を作成すれば、相手の会社から給料差し押さえもできます。 堂々と権利を主張しましょう。
相手と話が通じない場合は、直接交渉せず、弁護士に依頼するのも手段の一つです。急いで依頼せず、何人かの弁護士に相談してみましょう。女性の弁護士は、女性の立場にたって親身になってくれ、弁も立つ方が多いです。
夫婦の問題にもかかわらず、親戚など、外野からの嫌がらせがある場合は、弁護士を通すように伝えることで抑止力になります。
親権は日本の法律ではほぼほぼ母親です。もし、妻がASDで子供や夫にDVや暴言があり親権で揉めている場合は、証拠を集めて慎重に親権を主張する必要があります。
実際には、裁判まで大ごとになる可能性は低いですが、もしそうなったとしても確かな情報をしっかりと収集しておけば、必要以上に不安に陥ることはありません。

カサンドラ症候群から早く脱却して楽に生きるために、するべきこと(情報収集や専門家への相談)は先にして、常に最悪の事態を想定して行動することをお勧めします。